みなさま ご機嫌よう
ゆみこです
今日も いらしてくださり
ありがとう存じます
疫病退散の御利益があるとされる
江戸時代の妖怪「アマビエ」
あなたは、ご存知でしょうか
上記は、江戸時代に
肥後国(現・熊本県)で描かれたという
「アマビエ」の出現を伝えた瓦版です
令和の時代
新型コロナウイルスの早期収束が願われて
「アマビエ」は
その姿を描き写すことで感染を防げる
という伝承から、注目を集めていますね
ただ、生来の臆病者な私には
とても身近には置けない絵なので
右側の文字の方ばかりに
視線がゆきます
単に、古文書が好きなだけ?
どなたか私のような方は
おられませんか
あ・・っ。
いま手を上げて下さった
あなた!
ご一緒に
「アマビエ」の
瓦版の古文書を読んでみませんか?
目次
まず、全体を見る
瓦版の右側部分を
拡大したものが こちらです
その古文書を、
この瓦版に書かれたままに
旧字体は原文のままで
崩し字は新字体に変換すると、こうなります
見る二、づの如く者現ス。私ハ海中二住、アマビヱト申
者也。當年より六ヶ年之間、諸国豊作也。併、
病流行、早々私を写シ人々二見せ候得と
申て、海中へ入けり。右ハ写シ役人より江戸江
申来ル写也。
弘化三年四月中旬
では、
この原文を解りやすく区切って
さらに
現代語訳を加えてみましょう
肥後の国の海中へ 毎夜光るものが出た
その場所へ役人が行ってみると
図(絵)のような者が現れた
「私は 海の中に住む アマビエと申す者である
当年(今年)より6年間は 諸国は豊作である
しかし、病気が流行る
早々に 私(の姿を)写し
人々に見せなさい」 と言って
海の中へ 入っていった
右の図は その写しである
役人から江戸へ
申し出た(報告した)写しである
では、ここからは
旧字体がどのように崩され
新字体に変換されるのか
解き明かして参りましょう
一行目「肥後国海中江毎夜光物出ル」
左側は⇒原文ですね
真ん中に⇒「くずし字(変体仮名)」を
右側は⇒「新字体」に読み仮名をふりました
一~二行目
「所之役人行見る二 づの如く者現ス」
二~三行目
「私ハ海中二住 アマビヱト申者也」
三行目~
「當年より六ヶ年之間 諸国豊作也」
三行目末~四行目
「併、病流行早々私を写シ」
四行目
「人々二見せ候得と申て」
五行目
「海中へ入けり 右ハ写シ」
五行目~
「役人より江戸江 申来ル写也」
読解のために 使ったものは?
今回、
古文書を読み解くために使ったのは
・くずし字解読辞典
・あかしや新毛筆
・付箋
・紙
これだけ。
もしも
これに付け加えるとしたら
解らない文字(古語)の
意味を知りたいときに利用する
古語辞典です
けれど基本、これだけあれば
どなたでも 始められるのが
「古文書の読み解き」
私のきっかけは
礼法書の読解でしたが
ほぼ独学で解いています
ご興味のおありの方
お読みになりたい古書などを
お持ちの方は
ぜひ 一度なさってみて。
ご紹介のお品の詳細は
こちらで ご覧いただけます
古文書 ~ 時代を読む
『古文書』
それらを 読み解く作業は
一時代を引き寄せ
未来を読み解く作業
のように感じます
たとえば、こちら
『織田信長黒印状』関西大学デジタルアーカイブより転載
↓上記の画像データを拡大加工すると
しっかりと
信長の筆跡が残されていますね
『古文書』には
それらを読み解くことで
次元を越えて
書き手が 私たちに語りかけくる
楽しさがあります
アマビエのように
その時代を生きた者たちの 心模様や
信長のように時代を創り
人々を率いた者の 息づかいもあります
古語・くずし字・変体仮名の判読は
決して簡単ではないけれど
それでも
私たちの 母国語です
仲良くなれば
素敵な「生涯をかけた好敵手」になってくれると
私は
そんな風に感じています
最後まで お読みくださり
ありがとう存じます
疫病退散の御利益があるとされる
江戸時代の妖怪「アマビエ」が
話題になるほど
混迷した令和の世
ひとつでも多くの
たいせつな命が 守られますように
どうか
あなた自身も ご自愛なさって
明日へ 明日へ
明ける日へ と 一歩ずつ
無理せずに 参りましょうね
ご機嫌よう