言 の 葉

『 ごめんください。』敬語よりも使える丁寧な言葉①

投稿日:2018-04-27 更新日:

みなさま ご機嫌よう

ゆみこです

今日も いらしてくださり
ありがとう存じます

 

あなたは
「ごめんください」という言葉を
戸惑うことなく使いこなせていますか

気品のある美しい言葉は

口にする者の印象と
場の空気を 一瞬で換えるもの

本日は
「ごめんください」
意味・用途・起源について
掘り下げて参ります

また
お国ことば(方言)のおはなしも
たのしく お耳にかけましょう

では ごゆるりと
お付合いくださいませ

 

 訪 問 のとき。

訪問先の玄関で口にする
「ごめんください」
どのような意味を表すのでしょう

そこには
二通りの意味があります

  • 「どなたか  いらっしゃいませんか」
  • 「突然な訪問を  お許しください」

と。

どちらも、先様を気づかう気持ちから
使われていることがわかります

同じように
別れ際にも
お使いいただけるのが
この
「ごめんください(ませ)」ですね

 

想像してください。

おいとまする段となり
あなたは
大切なひとときの御礼を申し上げた後で

玄関までお見送りをうけました
ゆっくりと靴を履いて向き直り

そこで
「ごめんください(ませ)」と申し上げて
一礼いたします

さて その時の
「ごめんください」は
どのような意味をもつのでしょう

それは

「本日は、大切なお時間と お手間をいただいて
ありがとうございます
それでは、これにて お暇(いとま
)いたします

というものです

むろん
小さな子供たちが笑顔で
「さようなら!」と手を振る姿は
愛らしいものですが

物事を終わりにする意味あいのある
「さよなら」とは
すこし違います

 

では
もし、あなたがお客さまをお迎えする立場なら
何とおっしゃいますか

「ごめんください」お返事
こちら

  • 「ようこそ  いらっしゃいました」
  • 「いらっしゃいませ どうぞお上がり下さい」

そして お客さまを
お見送りされる立場ならば

「どうぞ道中お気をつけて ぜひまたお越しください」

などと、おっしゃると好いですね。

如何でしょう

こんな風に
「ごめんください」
訪問するときにも、るときにも使えます

そして
目上にも目下にも使える言の葉です

 

 電 話 のとき。

「ごめんください」
お電話を切る際にも使うことができますね

会話の最後に使う
「ごめんください(ませ)」
意味

  • 「あなたの大切な時間をお借りして、ごめんなさいね」
  • 「 お引き留めして、ごめんなさい 」

です。

そして、そのお返事

「ご連絡頂き、ありがとう存じます。ごめんくださいませ」

または 簡単に
「失礼いたします」でも好いと思います

もし、こんな言葉をさらりと使いこなせる
お若いかたをみつけたら
とても感心してしまいます

しかし
何事もと言いきれるものではなく

この言葉も職場で使うには
すこし注意が必要なようです

仕事場や、社の方針にもよりますが

ビジネス言葉としては
「ごめんください」
の使用は
ふさわしくないという考え方もあるからです

中には、
私的には「ごめんください」で良くとも
公的には「失礼いたします」を使うもの
と、
お客さまへの配慮とともに
そういったご指導をされている所もあります

ですからどうぞ 職場でお使いの場合は
まず、上司の指示をたまわってから
臨機応変にお使いくださいね

同じように
人には
色々な感じ方があるのも事実です

お相手に反応が好ましくないのであれば
そのときは難しく考えず、
人と 状況にあわせて
「失礼いたします」を気持ちよく使いたいですね

 

もちろん「ごめんください」
元来、
相手への敬意が込められた言葉ですから
電話を切る際に使うことも正しいことです
決して、間違った使い方ではありません

 

 手 紙 のとき。

お手紙をしたためる際にも
「ごめんください」
の文字が
どこかに隠されていることがあります

それは 何処でしょう

そう。それは
「前略」を用いるときです

「前略」を使い、それに続いて
いきなり本文に入る書き方をする場合

そこには
つぎのような文字が隠されています

  • 前略 ごめんください(ませ)
  • 前略 失礼いたします
  • 前文 お許しください

そのまま略さずに
お手紙の頭文としてお使いになるのも
とても素敵ですね

 

 語 源 のこと。

「ごめんください」の語源である
御免の「免」という言葉には

「めんじる」「まぬがれる」の意味で
許すという意味があります

そこへ
尊敬を意味する接頭語の「御」が付き
先様への敬意を込めた
ごめん=御免」という言葉になりました

※ 接頭語とは
他の文字の最初について意味を成す言葉のことです

 

「御免」という言葉は
鎌倉時代から使われていました

この時代の「御免」は
許可・決定を下すための[許す]の意味が強い使い方で
「免」は、上の者から下へくだすもの

時代背景として
挨拶さえすれば礼儀が立った時代ではなく
身分、格式、家柄により、自分より格が上、格が下
などが、はっきりと区切られた時代です

おもに
認可などの決定を下すときや、
その許可をしてくれる人に対して敬意をこめて使うもので
謝罪やお詫びとしての意味はありませんでした

当時の「ごめんください」は

  • 「本来、私などが通ってはならないとは存知ますが」
  • 「まかり通ります事、お許し下さい」

というように使われました

 

室町時代になると

  • 「御免あれ」
  • 「御免候」
  • 「御免仕る(つかまつる)」
  • 「御免させてください」

と言って、相手に対し寛容を望んだり
自らの無礼を詫びる際に使われるようになります

※「ごめんください」の【下さい】は
「お願いします」ですね

 

 方 言 のこと。

きっとご存知でしょう

新潟弁の「ごめんください」

時間帯や場面に関係なく
様々な意味で使われていますね

訪問の際は、もちろん
お客さまを招き入れる際も「ごめんください」です

電話は切るときの「ごめんください」だけでなく
最初にも
ごめんください。○○です」とおっしゃったりします

また、自己紹介のはじめにごめんください
と言ってからお話しされたり

なにより、人と出会ったときのご挨拶は
一日中ごめんください」です

時間を気にすることなく
「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」
と同じように使えるのは
新潟弁ならではの 素敵なところですね

 

その他の 道府県では
意味や使い方の違いはありませんが

それぞれのお国ことば(方言)が
とても魅力的なので
こちらに、そのほんの一部をご紹介しましょう

「ごめんください」

  • ごめんくなんせ(岩手ほか)
  • もっす(福島県ほか)
  • ごめんなんしょ(長野・栃木ほか)
  • ごめんなせえ(埼玉ほか)
  • おゆるしー(和歌山ほか)
  • ごめんなして(三重ほか)
  • もーし(福岡ほか)
  • おって(広島ほか)
  • ごめんやす(京都・大阪ほか)
  • おごめん (大分ほか)
  • ちゃーびらさい(沖縄)

そして、こんな声も

富山
『 ごめんください まいどー、おられるけ
ごめんください。いらっしゃいますか
宮崎
めあげんそ、おじゃひか
ごめんください、いらっしゃいますか

 

如何でしたでしょう

方言を知ることで
「ごめんください」の印象が すこし変わりませんか?

そう。「ごめんください」
こんなにも
味があって、親しみのある言葉なのです

もしも

「ごめんください」だなんて言って
気取ってるなんて思われたら どうしよう…

と、悩んでいるかたがいたら

きっと少し
勇気をもつことが出来たのではないでしょうか

 

 初めて使った日のこと。

少女だった日のこと。

大人たちの使う あこがれの言葉
「ごめんください」が
使いたくて 使えなくて悩んでいたころ

ある日、私は
なんと 家の電話機の置いてある
横の白い壁に 鉛筆でちいさく
「ごめん」と、イタズラ書きをしました

初めてのお相手は お電話で!
と決めていたのです

これまで いつも
慣れぬ言葉をつかうと
緊張して 頭が真っ白になり
言葉が出なくて失敗ばかりでしたから

このイタズラ書きを手がかりにすれば
きっと上手くいく と (苦笑)

念願叶い お留守番を頼まれた ある日
耳にした 紋切り型の問い合わせ電話

 

「はい・・ はい・・ 承知しました ・・」

受話器をぎゅーっと つかんでも
視線は壁の「ごめん」の文字に釘づけです

「はい・・ では、・・ごめんくださいませ

やった!

 

その後、白い壁のイタズラ書きは
しばらく そのままでした

人知れず、いくども練習をして
ようやく人前で使えるようになるのも
また 先のおはなし。

「ごめん」の文字を見ずに言えるようになるころ

あのイタズラ書きが
無いことに気づくことになるのですが

さて

いつのまにか 消えてしまったのか
誰かがみつけて 消してしまったのか
今となっては わかりません

が、これが
「ごめんください」で味わった
にがくて甘酸っぱい 私の想い出です

 

 おわりに。

最後まで、お読みいただき
ありがとう存じます

本日の
「ごめんください」のおはなしは
如何でしたか

 

言葉を身につけるのは
新しい靴を買ったときに似ています

それが どんなに機能性が高く
自分の足にフィットしていても

おろしたての靴が
足に馴染むのには時間がかかるもの

言の葉も同じ。

 

言葉に自分を寄せているうち は
うまく話せません

緊張して 口ごもってしまったり
相手に 違和感を与えてしまったり

それでも あきらめずにいると
いつか
自然に馴染んで
戸惑いや ためらいが外れます

 

いつのまにか
あなたらしい気品のある言葉として
身に添うようになれば

つぎは

聴く者への印象や
場の空気を 一瞬で換えるものへ

そして・・その先は、またのおはなし。

 

本日は この辺りで
おいとま致します

ごめんくださいませ

 

ご機嫌よう

-言 の 葉

執筆者:


  1. 杜怡萱 より:

    ゆみこ様

    こんばんは、詳しく説明をいただき、いい勉強になりました。
    ごめんくださいの歴史と敬語をいただき、どうもありがとうございました。
    日本語を勉強にしております。

    着物が大好きなので、このサイトも大好きです。

    台湾から怡萱より

    • ゆみこ より:

      怡萱さま

      こんにちは
      お声がけ下さり ありがとう存じます

      昨日は
      問い合わせページを 幾度か
      お尋ねくださるお客様がいらっしゃるのが
      伺えたので気にかかっておりました
      きっと
      貴女だったのですね 嬉しいです

      このページをお訊ねになるお客様は
      シャイな方が多く

      遠慮なさってお帰りになるのを
      これまで幾度となく見送っております

      貴女のように勇気を出してくださるのは
      本当に有り難くて
      わたくしも力を分けていただけます

      ありがとう

      ささやかなページではありますが
      これからも
      日本の言の葉・日本の着物・美しい振舞いを

      しずしずと伝え残して参りたいと存じます

      貴女のような
      海の向こうで読んで下さる
      素敵な女性にもお気に召していただけるよう

      心をこめて綴って参りますね

      また 近日中に
      Twitterでの記事更新のお知らせも始めます
      よろしければ
      そちらも覗きにいらして下さいね

      本日は ありがとうございました

        ゆみこ

      追伸

      Twitterとの連携作業に
      ことのほか時間をいただきそう

      機械操作が苦手なの (..;)

      ごめんなさい
      もう少しお待ちくださいね

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ご挨拶

 

ご 挨 拶

 

千年の先

15代あとの子らに

あなたは
何を伝えたいですか

日の本のくにの

言の葉の ぬくもり
きよらかな 所作

いまを  惜しみ
慈しみ
人を敬い

薫るように

歳を ゑるほどに
人を深めて

もし

叶うのなら

和事に
華を咲かせながら

生きてみたい。。

 

ここへ
いらして下さる方々に

ほっと一息つける場所に
なれますように

つたないブログですが

 

つまずきながら
学びながら

感ずるままに  綴っております

どうぞ
ごひいきに。。

 

ゆみこ

 

 

略 歴

 

 

千羽屋呉服店・長女

永田町のとある神社へ
本職の巫女として奉職

舞台着付
根津昌平氏師事(松竹衣裳)

和裁学苑
村林益子氏師事

和装ポージング&ウォーキング
田中レーヌ氏(パリコレモデル)師事

和文化講座
中嶋よしゑ氏(京都・芸妓)様

メンタルケア・スペシャリスト認定

きもの文化検定3級

小笠原流礼法・師範