言 の 葉

「ごちそうさま」敬語より使える 深い言の葉 ② 

投稿日:2020-04-09 更新日:

みなさま ご機嫌よう

ゆみこ です

日本の風情に
当り前のように 溶け込んでいる
食後の ごあいさつ

幼い子供たちが
その小さな 手のひらを 寄せて
言い添える
「ごちそうさま」は
いつ見ても 微笑ましく

胸を くすぐられるような
愛おしさを 感じるものです

「ごちそうさま」

どのような御代であっても
人は大切な命をいただいて
日々を紡ぎます

まして
未来をになう子供たちには

この言の葉の 意を汲んで
どうか素直に
その心を たずさえて
生きて欲しいから

本日は
「ごちそうさま」
「ご馳走さま」の お話しです

 

 ことばの意味

「ご ちそう さま」を漢字に改めると
【 御 馳走 様 】となります。

その意味は

「馳」
「馳(は)せる」ともいい
馬などを走らせ
遠くまで至らせる、という意味です

「走」

人が手を振って走る象形から成る文字で
走る・駆けるの意味です

「馳走(ちそう)
馬や 馬車を走らせたり
人が走り回って 奔走することです

ここに接頭語の
「御」が付くと
「世話をする・面倒をみる」という意味も加わり

接尾語の
「様」が付くと
「尊敬」の意味が加わります

ゆえに

「御馳走様」とは

走り回るほど 気持ちを込めて
食材を揃え
食事を用意し
客人をもてなすこと

そして
その労をねぎらう感謝の言葉

です。

 

 由来は「韋駄天(いだてん)」


引用元:Wikipedia
韋駄天像(北京・妙応寺)

唐突ですが

2019年の大河ドラマのタイトルは
「いだてん」でしたね

物語は、
日本人初のオリンピック出場選手である
マラソンの金栗四三さんと
1964年東京オリンピックの立役者である
田畑政治さんを軸に 描かれました

ご存知、タイトルの
「いだてん」とは
足の速い人を指します

そして

この韋駄天(いだてん)と
「ごぎそうさま」とは
深い結びつきがあるのです

 

韋駄天(いだてん)とは

古代インドの護法神で天界に住む仏神
その天部尊の中でも

韋駄天が
「馳走」由来といわれる理由
には
諸説ありますが

  • お釈迦様のために走り回って
    食材を集めていたこと
  • その足の速さを利用して
    修行中の僧侶や人々のために
    食事の準備に奔走していたこと
  • 仏舎利(ぶっしゃり)
    =お釈迦(しゃか)さまの遺骨を
    捷疾鬼(しょうしつき)が盗んで逃げた時、
    これを 足の速い韋駄天が 追いかけて
    取り戻したことから

仏教では「馳走」のことを

  • 他人のために奔走し苦しんでいる人を助けること
  • 料理で人をもてなすこと
  • そうして用意された料理のこと

と言ったとされます

日本では

僧侶たちが集まり修行する場所
「伽藍(がらん)」の守護神として
禅宗の寺院の厨房に置かれ
僧の住居や食の守護をになっています

この由縁から

韋駄天は
「食卓の神様」として慕われるようになり

感謝の気持ちを込めて
「ご馳走さま」と
合掌されるようになります

 

 江戸時代

日本において

食事の挨拶として
「ご馳走さま」が
使われるようになったのは
江戸時代の後半からと言われます

今のように物質が豊かではなかった時

稲作は、手植えであり
収穫までに八十八手を加え
丹精をこめて作られました

おかずとなる食材も
現在のように冷蔵庫には保管できないため

その季節に一番美味しい
旬のもの
滋養のあるものを
客人のために 走り回って用意します

料理は
竈(かまど)で火をおこし
時をかけ 手間暇を惜しまずに

相手の幸せを願い
功徳をもって
心を尽くすことでした

だからこそ

もてなしを受けた来客も
お礼の言葉として一心に
「ご馳走さま」と
手を合わせたのでしょう

また「ご馳走さま」は

食後のあいさつだけでなく
他にも
さまざまな場所で使われました

 もらい湯

昭和20年代の半ばころまで
日本には
もらい湯」という習慣がありました

その頃、
お風呂を沸かすことは
薪を割り、火をおこすといった
大変な作業でしたので

毎日、お風呂を沸かせる家は少なく
「もらい湯」といって
ご近所のお宅の風呂をお借りして
入っていたのです

そうしてお風呂をいただいたら
お礼の挨拶として

必ず
「ご馳走さまでした」と言って
家へ帰ったのです

 

 「のろけ」

「のろけ」を聞かされた時にも聞かれます

これは
「幸せのおそそわけをいただきました」
という意味での
「ごちそうさま」ですね。

 

 他国で「食後の あいさつ」は?

「ご馳走さま」は

日本では
独自の考え方が色濃い
「ご馳走さま」ですが

他国では
どのような挨拶があるのでしょう。

英語

  • I’m done(食べ終わりました)
  • That was delicious.(おいしかったです)
  • Thank you for the awesome food.
    (とてもおいしい料理ありがとうございました)

中国語

  • 非常好吃(フェイチャンハオチー)
    「とても おいしい料理でした」
  • 我吃饱了(ウォチーバオラ)
    「お腹いっぱいです」

タイ語

  • อิ่มแล้ว (ìm lɛ́ɛw)(イムレーオ)
    「お腹いっぱい」
  • ขอบคุณสำหรับอาหาร(kʰɔ̀ɔp kʰun sǎm ràp aa hǎan)
    コップン サム ラップ アーハーン
    「ご飯を、ありがとうございました」

ベトナム語

  • Cám ơn nhiều(カームオン ニウ)
    「たくさん、ありがとう」

フランス語

  • Merci beaucoup(メルシーボクー)
    「ありがとう」
  • C’était bon(セテボン)
    「おいしかった」

イタリア語

  • Estato molto buono! (エスタート モルト ブオーノ)
    「どのお料理も、おいしかったです」

アラビア語

  • الحمد لله (アルハムドゥリッラー)
    「アッラーよ、お蔭さまで満足です」

 

 お礼の当日メールと、後日のご挨拶

現代社会において
欠かせなくなっているのが

目上の方から
お食事にお誘い頂いた折に使う

「ご馳走さまでした」

その場の、ご挨拶は当然ですが
【帰宅後の、お礼メール】
【次にお目にかかる際の、お礼の挨拶】
忘れたくないものですね。

当日のメールならば
たとえば

本日は、ありがとうございました
○○様とゆっくりお話しができて
とても嬉しかったです

のように送信いたします

そして次にお目にかかった時には
まず、何はともあれ

「昨日は(先日は)、ご馳走さまでした」

と申し上げます。

勿論、これは決まり事ではなく
心からの感謝の気持ちからなる
自然なもの

ですが

残念ながら
若気の至りであったとしても
こうしたことが
出来るのと出来ないのでは
印象が大きく違い

のちのち
恥ずかしい想いをするのは
とても切ないですから

できれば
少しでもお若いうちに
大人の振舞い・嗜(たしな)みの一つとして
覚えておきたいですね

 

 まとめ

本日のお話しは

【 親から子へ日本の心を伝えたい
「ごちそうさま」の漢字・意味・由来】

まとめると・・

「ごちそうさま」の馳走とは

「走りまわる」
「馬を駆って走らせる」
「奔走(ほんそう)する」

に由来し

その心は

他人のために奔走し苦しんでいる人を助けること
料理で人をもてなすこと
そうして用意された料理のこと

「合掌の心」であり

走り回るほど 気持ちを込めて
食材を揃え
食事を用意し
客人をもてなして下さった方への

「労をねぎらう感謝の言葉」

でした。

 

 最後に、ひとこと。

神主の家柄でもない私が、
不思議なご縁をいただいて
巫女としてご奉仕していた頃

毎日、境内を見つめながら
思うことがありました
それは
「御礼詣で(御礼参り)」のことです

神社ですから
日々、いろいろな
ご祈願に来られる方が多いのは
当然なのですけれど
時折、ただただ
お礼だけをおっしゃりに
詣(まい)られる方がいらしたのです

無知な子供だった私は
そこで初めて
「お礼詣(もう)で」
という言葉を知りました

お願い事が叶ったお礼に
目立たないけれど
でも
そうした心ばえのかたは
必ず いらっしゃるし

そんなお姿を拝見するたび
私自身も
心が洗われて 嬉しくなるのです

「お礼の心って、きれいだなぁ。美しいな。」
と、思っていました

傍らにいる神職さんからも
そういう心が、一番尊いんだよ
教えていただきました

 

 

日本の美しい言の葉を

つぎの御代に
紡いでくれる子どもたちがいます

「ご馳走さまでした」

彼ら彼女たちが
いつか清濁を含んだ 大人と成っても

大切な人の顔を思い浮かべ
心を尽くし

敬意をもって受け渡す
お礼の気持ちとして

自然に、使い続けてくださると
嬉しいな。と思います


「ご馳走さまでした」

という

その心を噛んで含めるように
味わいながら・・。

 


 

最後までお目通しいただき
ありがとう存じます

「ご馳走さま」のお返事となる

「お粗末さま」
については、
こちらに書いておりますので
宜しければ、ご覧くださいませ

⇒⇒⇒ 年末年始に見直したい。
ふるさと別の言い方で「お粗末さま」

 

では本日は
この辺りでお暇いたします

ご機嫌よう

 

 

-言 の 葉

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ご挨拶

 

ご 挨 拶

 

千年の先

15代あとの子らに

あなたは
何を伝えたいですか

日の本のくにの

言の葉の ぬくもり
きよらかな 所作

いまを  惜しみ
慈しみ
人を敬い

薫るように

歳を ゑるほどに
人を深めて

もし

叶うのなら

和事に
華を咲かせながら

生きてみたい。。

 

ここへ
いらして下さる方々に

ほっと一息つける場所に
なれますように

つたないブログですが

 

つまずきながら
学びながら

感ずるままに  綴っております

どうぞ
ごひいきに。。

 

ゆみこ

 

 

略 歴

 

 

千羽屋呉服店・長女

永田町のとある神社へ
本職の巫女として奉職

舞台着付
根津昌平氏師事(松竹衣裳)

和裁学苑
村林益子氏師事

和装ポージング&ウォーキング
田中レーヌ氏(パリコレモデル)師事

和文化講座
中嶋よしゑ氏(京都・芸妓)様

メンタルケア・スペシャリスト認定

きもの文化検定3級

小笠原流礼法・師範