みなさま ご機嫌よう。
慶事に身にまとう着物や、帯、小物。
そこに良く使われる
『宝尽くし文様』の意味を解きたくて
本日は【巻物】のお話しです。
昨今では、身近に手にする機会のないものですが
今もなお『宝尽くし』として愛される意味を探ります。
では、本日もどうぞ ごゆるりと。
宝尽くしを読み解く《伍の巻》は
『巻物』の、お話しです。
巻物とは
『巻物』は、この呼び方の他に
・ 宝巻(ほうかん)
・ 巻軸(まきじく)
・ 巻子本(かんずぼん・けんずぼん)
と、呼ばれます。
そして、その意味するところは
・ 「知恵の象徴」
・ 「有難い経文」
・ 「人生の道標・虎の巻」
・ 「門外不出の奥義書」
・ 「学業成就祈願」
と言われます。
あなたは「巻物」といって 何を思い浮かべますか?
親しみはありますか?
例えば・・
宝尽くしとは、少し意味合いは異なりますが、
忍者が口にくわえていた巻物は
忍術の極意・解説・心得などの書かれた秘伝書と
言われていますね。
小説『里見八犬伝』でも
八つの玉と共に巻物が使われるたことも。
絵巻物といえば、『鳥獣人物戯画』
そして『源氏物語絵巻』でしょうか。
あなたは、如何ですか。
歴史
長い巻き紙に、文書や絵物語を記したものを
巻子装(かんすそう)と言います。
日本では、主に
飛鳥・奈良時代~平安時代までは
基本は、巻子装の形態でした。
しかし、この巻子装(巻物)では
最初から読み返したり、途中から読むことが難しく
必要な部分を探すことが大変なため
平安以降には、
冊子装、帖装という形態に代わってゆきます。
今なお、その形態を残しているのは
掛け軸と、奥義書といわれます。
また
平安~鎌倉時代にかけては、写経が流行します。
「平家納経」に代表されるなど、何万巻もの写経が行われました。
* へいけのうきょう・・とは、
平安時代に、平家一門がその繁栄を願い厳島神社に奉納した経典の総称です。
文様の違い
宝尽くしの文様も、
描かれ方は同一ではありませんが、
宝尽くしの【巻物】として描かれる多くは、
2~3本の巻軸を重ねた物です。
こちらは『祇園守文』
交差した巻物に銀杏の葉飾りが特徴の
京都八坂神社の護守・守り札です。
疫病・厄除けのお守り、
キリストの十字架を模した
戦国期以降の隠れキリシタンの用いた文様ともいわれ
それは「宝尽くし」とは、
似て否なる意味あいのものです。
この他に
『筒守(つつもり)』という
首から掛ける、筒型のお守り入れをかたどった文様もあります。
こちらは、江戸時代の竹製の筒に金属板をめぐらせた
両端に家紋をあしらった蓋(ふた)を付けたものが現存しています。
名 残
巻物として今なお
その形態を残す「掛け軸」「奥義書」以外に
言葉の名残りが見られるものとして上げられるのは
本の呼び方である「全巻」という言い方。
そして、本を1巻、2巻、3巻・・と数える言い方。
題名の末尾に「~の巻」と付ける言い方。
変わり種としては、やはり
海苔で巻いたお寿司。
これは今も「巻物」と言いますね(微笑)
巻物という「宝」
そもそも紙を=神と拝した古来の人々。
お祓い・お清めの時には、塩・酒・麻・紙を使いました。
書物に対する畏敬(いけい)の念も、
経文・奥義などを得がたく希有なものと崇める思いも、
現代とは違うものです。
書物・冊子、そのものの価値が、
今とは比べものにならないほど高いのです。
【巻物】それは、【宝巻ほうかん】
「知恵の象徴」として
「人生の道標・虎の巻」として
「門外不出の奥義書」として
「得難い経文・学びの書」として
【生きる上で、かけがえのない宝】
といって間違えないでしょう。
七福神と、米俵と、鯛と、小槌と・・
そして、巻物をのせた【宝船】
そんな宝物は
いつも、あなたのすぐそばに在る本。
書物のこと。
きっと、あなたも
たくさんの宝物を持っている事でしょう
こんな可愛らしい動画を見つけました。
作って遊びたいなぁ。。
本日も、最後までお付き合いいただき
有難う存じます。
華やかのものから控えめなものまで
お着物に彩られ、込められた祈り。
その声に耳を傾け
末長く、身に付けたいものですね。
そして、次は
こちらです。
⇒⇒⇒【金嚢 きんのう・宝袋】「宝尽くし」の意味⑥着物の文様
また、お目にかかりましょう。
ご機嫌よう。