みなさま ご機嫌よう。
晴れの日にまとうお着物の絵柄に
良く見られる文様の「宝尽くし」
その美しい文様に込められた意味を
掘り下げたくて
本日は、弐の巻。
『宝鑰』の、お話しです。
宝鑰(ほうやく)とは
宝鑰の「鑰」とは「錠」のことです。
正しくは、『宝鑰』と書いて
「ほうやく」と読みます。
そのむかし 日本家屋といえば、
引き戸ですね。
戸締まりのために使った
戸を支える木の棒
それが、錠の原型です。
そして
そこには[さる]と呼ばれる
つっかえ棒のような形をした
落とし錠が、掛けられていました。
戸を開くには、この[さる]を
引き上げたり 落としたりして
錠を外さなければならず、
そのための道具に当たるのが
『宝鑰』です。
見られる所は
気付いておられましたか?
実は、
伏見稲荷の狐がくわえているのが
『宝鑰』で、蔵の鍵。
富貴・豊穣の象徴です。
そして
鍵屋など「鍵」と名の付く
屋号の紋章や、
土肥家の家紋としても有名で
〔丸に鍵・房付き鍵・違い鍵〕
などがあります。
なんと、絵本にもありました。
あなたも幼い頃に、
手に取ってはいませんか?
「どろぼうがっこう」1973年
加古里子・著 / 偕成社・刊行
描かれています・・ね?(微笑)
意味と 空海と。
宝鑰 = 蔵の錠 ということから
一般に、よく使われる意味としては
「富の象徴」
「蔵をたくさん持つほどの富を得る」
です。
が、
その裏には深い意味が隠れている様で
それを解く鍵は、
弘法大師・空海さまが握っていらっしゃいました。
宝鑰といえば『秘蔵宝鑰』
仏教史上でも名高いとされる
弘法大師さまの名著です。
この中で師は
「大日如来の大いなる光の中で
心を正しく見直すならば、
毎日は新しい生活になる」と説き、
『宝鑰』とは
[秘められた蔵]の《鍵》
【蔵】とは
『真の仏の教え』のこと
即ち、
『宝鑰』とは
真の仏の教えを開く鍵
(宝の蔵をひらく鍵)
と仰せになりました。
更に、この言葉は
徳や保護といった意味も持ち
宝鑰は、扉を閉じ
外敵から身を守る役割もあるという
それは
物質的な〔宝の象徴〕というよりも
神仏からの加護を与えられている道具
との意味あいで
人としての道を説いたもの。
【宝】は
そこへ辿り着く扉をひらく錠。
秘蔵宝鑰
正直、
また前回の如意宝珠と同じく
空海さまが出て来られようとは
思っていませんでした。
1200年も前に
この国にいらした偉人・哲学者。
その人は、
香川県生まれの
幼名・佐伯真魚(さえきのまお)様
えっ、
真の魚?
魚・蛇・龍・宝珠・宝鑰??
あらら。。
前回の如意宝珠をお読みの方は
何か お気付きかしら。
そして、このご縁で
もしも
謎解きの旅に出掛けたくなった
そんな、あなたの為には
こちらも貼っておきますね。
本日も、
最後までお付き合い下さり
有難う存じます。
では、ここで得た宝の鍵を元手にして次へ。
宝尽くしの『参の巻』は、こちらです。
⇒⇒⇒【丁子 ちょうじ】「宝尽くし」の意味 ③着物の文様
宝尽くしの意味とお着物を通して、
あなたと周りの皆さまの幸せの時が
より深くなりますように。
ではまた、御一緒頂ければ幸いです。
ご機嫌よう。