言 の 葉

「行って参ります」② 文法・意味・文例・使われ方 を識る

投稿日:

日ごろより ご覧いただき
ありがとう存じます

うつくしい日本の口語に
ご興味のあるあなたへ 質問です

あなたは 普段 おでかけになるとき

「行って来ます」
とおっしゃいますか?
それとも
「行って参ります」
と おっしゃっていますか?

こちらの頁では

「行って来ます」

「行って参ります」に関する

文法・意味・文例
さなざまな場面
過去にみられる使われ方に心をよせて
語って参ります

どうぞ  ごゆるりと
お付きあいくださいませ

 

 語源 と 文法

まず【行って来ます】には 動詞が2つあります

行きます」 と
「(帰って)来ます」 ですね

ですから

行って来ます】の語源は
「行って 、帰って来ます」です

一方、
「行って参ります」の

【参る】は、「来る」の謙譲語ではなく
「なす・する」の謙譲語です

【参ります】
=「参る」+「ます」
=「行く」+丁寧語「ます」

ですね

※ 謙譲語とは

へりくだった言い方で
相手への敬意をあらわす表現の敬語です

 

「参る」の、5つの意味

では【参る】とは
どのような意味をもつ言葉なのでしょう


その 5つの意味と例文は、こちらです

① 行く
・行って まいります
・行って さんじます

② 来る
・持って まいります
・見て まいります
・先生が まいります

③ 継続する
・努力して まいります
・精進して まいります

④ 困惑する
・忙しくて まいってしまいます
・暑さで まいっております
・故障して まいりました

そして

⑤ 降参する
・あなたには まいりました

という意味もありますね

 

「降参する」とき

【参る】を
「降参」の意味で用いるのは
次のようなときにも使われます


将棋
囲碁
投了する意思を相手に伝えるとき
参りました」と言いますね

そして
柔道でも負けを認めるときには
参った」と伝えます

これは
降参する」「負ける」という意味の謙譲語

ですから 決して

悔しがったり
文句を言ったりせずに

謙虚に相手の強さを認める
【敬意を表す ことば】

として使われます

 

 お返事は?

どなたかに「行って参ります」
お声をかけられたとき
あなたは
どのような お返事をなさいますか?

【例 文】

  • どうぞ お気をつけて
  • どうぞ ごゆっくり
  • お早うお帰り
  • 行ってらっしゃいませ
  • よろしくお願いします

この5つを覚えておくと
とっさの折にも
戸惑わずにすみますね

 

 言い換える

では「行って参ります」を
別のことばへ 言い換えるとしたら
どうされますか

そう
「伺います」
になります

伺う
「行く」「尋ねる」「聞く」「伝え聞く」
謙譲語であり

「訪れる」丁寧語です

 

 さまざまな用途

歴史に刻まれ
いまも多くの遺書の中に見ることが出来る
言葉のなかに

「行って参ります」とは
表現できなかった

こんな言葉もあります

征(い)きます

真珠湾攻撃の「特別攻撃隊」や
戦争末期の「神風特攻隊」の隊員が

出陣の際に遺した ことば

征きます(行きます

です

片道の燃料しか持たなかった
彼らが口にした(書き遺した)のは

決して

×行って参ります(来ます)」

ではなかったのです

花嫁の 挨拶

その昔
花嫁は 嫁ぐ日の朝に

参ります

と述べたといいます

そこには

「この家の敷居は 二度とまたがない」
(ここへは決して 戻って来られない)
の想いが込められました

他家へ嫁ぐ女性にとって
婚礼の儀が
【生まれ変わりの儀式】
といわれた時代に

慈しみ育ててくださったご両親へ
御礼のことば とともに使われた

花嫁のことば です

 

「お参り」「お詣り」

他にも

参(さん・まいる)」には

・ まいる
・ まみえる(目上の人会う)
・ あずかる
・ 照らし合わせる
・ 入り混じる

といった
様々な人と出会い
・学び
・向上して帰ってくる

意味もあります

ですから
寺社へ もうでるときにも使われます

お寺お墓に挨拶に行くとき
仏様を合掌するときには
【お参り】を使います

用例:参禅(禅を学ぶこと)

一方

神社
に行くとき
神様へご挨拶するときには
お詣りを使います


用例:参賀(さんが)

※  補 足 ※

神社の「お詣り」には
参 道】を使いますね

参道の入り口では
鳥居の前で一礼し
参道の真ん中は神様がお通りになるので
避けてを歩かずに
左端か右端を歩きましょう

 

ここまで ご覧いただき
ありがとう存じます

本日
文法・意味・文例などに焦点をあてた
こちらの頁は

⇒⇒『行って参ります。』敬語よりも使える丁寧な言葉③

の補足にと記したものです
合わせてお運びいただけますと 幸いです

 

【編集後記】

 うつくしい言の葉を身につけたい あなたへ

私たちは
何かを語ろうとするとき
自然と
幾重にも ことば選びをしています

それぞれに歳を重ね
経験をかさね

時間をかけて
自分らしい言葉を
身にまとって参ります

中には 幼いころから
言葉に才ある方などもいて
器用に
まるで服を着がえるように
お話しになる方もおありですが

本来、
〔ことば〕は
誰もが 素直なこころで語れば
決して 語感に角も立てず
その〔人となり〕に添った
温もりをたずさえて 伝わるもの

難しく考え 何を選ばずとも
〔素朴な もの言い〕が一番です

ただ それでも

うつくしい響き
趣きや
品のある語り は有るもので

それを 努力して身につけた方は
何処においても
消えないオーラをまとうようになり

たとえば
どんな苦境に追い込まれたときにも
貧しい立場に甘んじるときにも

誰の目にも
確かに感じられるもの
ご自身を助けるものとなります

私は そんな
うつくしい口語を身につけようと
日ごろ努力なさっている
皆さまに

すこしだけ
寄り添って お手伝いができれば
心うれしいのです

 

では 皆さま
どのように身につけるのでしょう?

もしも あなたが
初心者さまであるのなら

ぜひ 試していただきたい
3つの言葉があります

それは まず
一人称を「わたくし」に替えること
そして 身近な方々へは
くりかえし「行って参ります」を使うこと
さらに 見ず知らずの方へは
ありがとう・すみません、に代えて
恐れ入ります」を使うこと

この3つの言葉を
毎日 コツコツ 声にしてみてください

きっと
あなたの中に 見えてくるものが
あるはずです

けれど それを
身体に染み込ませるには

もう一歩すすんで

・・・。

それは

また
この先の おはなし。。

 

最後まで お目通しくださり
痛み入ります

時節柄
どうぞ お身体をおいといくださいね

ご機嫌よう

 

おやすみなさいませ

 

 

 

-言 の 葉

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

【橘】の意味・吉祥文様を解く(動画あり)

  みなさま ご機嫌よう。 嫁ぐ日に袖を通したい衣裳。 絢爛豪華な色打掛に秘められた、 吉祥紋様。 その中に 常世の国に生えていたという、 日本にしか自生しない蜜柑 『橘』があります。 それ …

【金嚢 きんのう・宝袋】「宝尽くし」の意味⑥着物の文様

みなさま ご機嫌よう。 美しい晴れ着で迎える門出。 その人生儀礼に使われる吉祥文様に 『宝尽くし』が あります。 そこに良く描かれる宝ものを 一つ一つ拾い集める中、 今回、手に致しますのは 【金嚢 き …

『夜さり方には お暇します』女らしさを大切にしたい人の言の葉⑧

  みなさま ご機嫌よう あなたは 【夜さり/よさり】 という言の葉を お遣いになったことはありますか ・・・。 いまの御代には 聞きなれぬ言葉ですものね けれど お遣いいただくなら こんな …

愛される聞き上手になるために押さえたい、3つの事。

  皆さま ご機嫌よう。 よく お休みになれました? 優しい心根に いちばん必要なのは 心身の健康かな・ って思う 自分の心に 余裕がないと 誰の声にも 寄り添えないから よく言われるのが …

『 良いお日和ですね 』敬語より使える言の葉【袖振り合うも多生の縁】

みなさま ご機嫌よう ゆみこです 今日もいらしてくださり ありがとう存じます。   唐突ですが あなたは 近しい方と ご挨拶をされるとき 話しのきっかけに ふだん お天気の話しなどなさいます …

ご挨拶

 

ご 挨 拶

 

千年の先

15代あとの子らに

あなたは
何を伝えたいですか

日の本のくにの

言の葉の ぬくもり
きよらかな 所作

いまを  惜しみ
慈しみ
人を敬い

薫るように

歳を ゑるほどに
人を深めて

もし

叶うのなら

和事に
華を咲かせながら

生きてみたい。。

 

ここへ
いらして下さる方々に

ほっと一息つける場所に
なれますように

つたないブログですが

 

つまずきながら
学びながら

感ずるままに  綴っております

どうぞ
ごひいきに。。

 

ゆみこ

 

 

略 歴

 

 

千羽屋呉服店・長女

永田町・山王日枝神社奉職

舞台着付
根津昌平氏師事(松竹衣裳)

和裁学苑
村林益子氏師事

和装ポージング&ウォーキング
田中レーヌ氏(パリコレモデル)師事

和文化講座
中嶋よしゑ氏(京都・芸妓)様

メンタルケア・スペシャリスト認定

きもの文化検定3級

小笠原流礼法・師範