言 の 葉

【金嚢 きんのう・宝袋】「宝尽くし」の意味⑥着物の文様

投稿日:2018-11-24 更新日:

みなさま ご機嫌よう。

美しい晴れ着で迎える門出。
その人生儀礼に使われる吉祥文様に
『宝尽くし』が あります。

そこに良く描かれる宝ものを
一つ一つ拾い集める中、
今回、手に致しますのは
【金嚢 きんのう・宝袋】

その中には、一体なにが入っているのでしょう?

では参りましょう。
本日、
〈六の巻〉は【金嚢・宝袋】の お話しです。

 

 親しまれる文様

金嚢 きんのう・宝袋】は、
福徳を呼ぶ代表的な吉祥文様の一つ。

その「福袋」は『福労』と言い
積み重ねた苦と成すと言い、とりわけ
お宮参り》の男の子用の絵柄に多く、用いられます。

こちらが 金嚢文です↓

金嚢】と書いて
「きんのう」又は「こんのう」
「かねぶくろ」「かなぶくろ」
と、読みます。

この他に、
 宝袋ほうたい
・ 砂金入れ  とも言われます。

家紋として多くの種類があり

金袋 ↓

 

 

 

 

 

聖天袋 ↓

袋菱 ↓

 

 

 

 

 

二つ袋 

三つ袋 ↓

 

 

 

 

 

三つ盛房無し袋 ↓

角袋 

以上・出典元 / 家紋無双

その他に「変わり袋」「丸袋」など
大変、親しまれている文様として、

瑞祥(ずいしょう)=おめでたい事が起こる前兆・吉兆を意味する
家紋として、たくさん見ることが出来ます。

これほど、親しまれている由縁はどこに在るのでしょう。

 

 大黒天・大国主命

【金嚢・宝袋】を手に持つ方といえば

こちら ご存知、七福神の中の 一柱である神様。
仏教でいうところの、大黒天

そして、神道でいうところの、
大国主命(おおくにぬしのみこと)。

その、御手にお持ちなのが
【金嚢】です。

なんとも福々しい面立ちの優しい笑顔ですが、
その起源はというと・・

インド・ヒンドゥー教の
シヴァ(=自在天)の化身
マハーカーラ(=摩訶迦羅)で、

マハー ⇒ (偉大)
カーラ ⇒ (時間) を意味し、

青黒い体の《破壊と戦闘》という
髪を逆立てた武装忿怒(ふんぬ)の荒神さまです。

日本でも、室町時代までは
甲冑(かっちゅう)を着たり
如意棒をもっている姿が一般的だったそうです。

三面大黒天を崇拝したので有名なのは、
豊臣秀吉。彼の出世の蔭に
三面出世大黒天』あり、とも言われます。

その後、平安期になると、
その多くが武装を捨て、烏帽子と唐服を身につけた姿へ。

そして、大黒大国と通じるため
大黒天大国主命とが結びつき、
日本神話を経て、現在の豊穣の神へ。

「絶対に食事の不自由をさせない神」
福徳の象徴となり

現在。

私たち日本人の心に息づく
七福神の大国様・大黒様は、

一般に、御家庭で大切なお部屋に
その姿を飾られていることも多いでしょう

この豊かな『まぁ~るいお顔と笑顔』
人々の信仰に厚いのは当然のご尊顔ですものね。

では、皆さまのよく知る、その御手に握られた袋

その中には
一体なにが入っているのでしょう

 

 七宝

まず、私たちが【金嚢・宝袋】を文様として愛でるものは
美しい金襴緞子絹織物で出来た、巾着(きんちゃく)袋ですね。

 ⇒ 布
 ⇒ 身に付ける ・の意です。

その中に入っているのは一般に
財貨・砂金・お守り・お香と、言われております。

太宰治「もの思う葦」
有島武郎「ドモ又の死」に表現される金嚢の中身も、
まがう事なく金銭です。

また、先に述べたように
お宮参りの男の子の衣裳に多様される理由も
『富と財に恵まれるように』との願いから。

また

以前に、こちら
⇒⇒【宝鑰 ほうやく】「宝尽くし」の意味②着物の文様

でも御紹介したことのある
かこさとし氏の絵本「どろぼうがっこう」の背表紙にも
【宝の壺】が描かれています。

出典元 / かこさとし公式サイト

壺の真ん中に、旧字で【寶=たから】と書かれていますね。

やはり、どろぼうさんも欲しがった
「宝の壺=金嚢」の中身は《金銀財宝》で間違いなし!
という事でしょうか。

が、お待ち下さい。
もう少し掘り下げさせていただけますか?(微笑)

金嚢=大黒天の持ち物という観点から見ると

仏教で七種の宝とされる
【七宝・七種・七珍】という言葉に巡り合えます。
ここでいう宝袋には
こちらの七つの宝ものが入っていると考えられています。

・ 金 = 随一の貴金属
・ 銀 = 金に次ぐ貴金属
・ 珊瑚(さんご)   =  海底で樹木に群生した後の骨格
・ 瑪瑙(めのう) =  白・赤・緑などの縞(しま)模様のついた鉱石
・ 玻璃(はり) =  頗梨(はり)→ガラスを意味する・透明な水晶
・ シャコ   
=  しゃこ貝の略・純白で光沢がある二枚貝
・ 瑠璃(るり) =  青い宝石「ラピスラズリ」・古代エジプトの「青金石」・日本画の岩絵の具「瑠璃色」

 

また、物質的な宝では無く

寿命
人望
情熱
威光
愛嬌
大量(度量の広さ)
であるとも言われております。

さて、怒濤のような数種の宝物。
あなたにとって

【金嚢】の本当の中身とは・・

一体、何だと思われますか?

 


 

最後まで、お付き合い下さった皆さま。
ありがとう存じます。

本日は如何でしたか?

正直に申しますと、
この記事を書き始める前の私は

金嚢=お財布?
あらら、ひと言で終わったらどうしましょ。

と考えていたのです。
けれど
今回も、嬉しい誤算と相成りました。

ほんとうに、宝尽くしの旅
いつも《誤算に次ぐ誤算》の連続となっております。

大切なお着物に見られる宝尽くしの
その一つ一つに愛おしさが募ります。

この次は、どんなお話しでしょう。

また
次回も、御一緒いただければ幸いです。

こちら
⇒⇒⇒【隠れ笠・隠れ蓑】「宝尽くし」の意味⑦着物の文様

ではまた

ご機嫌よう。

 

-言 の 葉

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