みなさま ご機嫌よう。
礼装のお着物の絵柄にも色々なものがあり
宝尽くしは、その中のひとつです。
華やかな場にふさわしく、
帯やバッグなどの文様にも
宝尽くしが散らされていることは多いもの。
本日は、その意味を解く『七の巻』
【隠れ笠・隠れ蓑】の、お話しです。
どうぞ、ごゆるりと
お付き合い下さいませ。
意味は
笠や蓑(みの)は、
・ 陽光をさえぎり、雨雪を防ぐためのもの
隠れ笠・隠れ蓑は、
・ 姿を見えなくする
・ 実体を隠す、正体を隠すもの
現在の世相に照らすと
・ 表向きの名目
・ 人をあざむくために使うもの
ですが
宝尽くしとは、中国思想の「八宝」や「雑八宝」からなる
縁起の良い【宝の文様】をいいます。
故に【隠れ笠・隠れ蓑】とは、
・ 危険な事物から、姿を隠し 守ってくれるもの
・ 病や災いから身を隠し、厄をのがれるもの
と言って良いでしょう。
隠れ笠
【隠れ笠】は、男性の文様です。
別名は、叡山菫(エイザンスミレ)と言われる
こんなに可愛らしいお花です。
ただ、花言葉は「ずる賢い」
やはり隠れ笠に由来しているのです。
すこし、お気の毒ですね。
その他に見られる情景には、こんなものもありますね。
・ お田植えの早乙女
・ 阿波踊りの笠
・ お遍路さんの笠
そして
・ 笠地蔵さん
こうして探してみると
どこか遠い物のように感じてた【隠れ笠】ですが、
実は今でも、あなたのすぐそばに在るのかもしれませんね。
隠れ蓑
【隠れ蓑】は、女性の文様です。
そして
こちらが、カクレミノの木です。
ウコギ科の常緑亜高木で
別名・天狗の団扇(うちわ)と呼ばれます
関東以南に分布し、樹液は家具の塗料に用いられ
神社の神事のお供えに使われることもあります。
(注:天狗の持っているのはヤツデです)
この【隠れ蓑】は、
鬼や天狗の宝物といわれ
その神通力を象徴するものの一つ。
こちらは高尾山の天狗像ですが
蓑というよりは
鳥の羽根のようですね。
イメージは、
昔話のおじいさんが来ていた
こちらでしょうか。
私は、こちらが好きかも(微笑)
秋の季語・みのむし。
上手く隠れていますものね。
物 語
隠れ笠・隠れ蓑がでてくるお話しといえば
・ 宝物集(平安末期の仏教説話集)
・ 保元物語(鎌倉時代の軍記物)
・ 笠地蔵(にほん昔話)
・ かくれ蓑笠(にほん昔話)
・ 天狗の隠れ蓑
(熊本県八代市に伝わるのは「彦一とんち話」)
(福井県に伝わるのは「ばくち打ち」のお話し)
・ 隠れ蓑と隠れ笠
(秋田県のむかし話)は、こんな風に始まります。
『 ざつと昔、ある所に兄がゐたけぢよん・・』
いまも日本各地には
なんとも言えぬ味わいのある民話や
お伽噺(おとぎばなし)として多く、語り継がれています。
特に、天狗をだまして色々なイタズラをする
彦一ばなしは楽しくて
お子様に〔宝尽くし〕の説明をするには、うってつけ。
訪問着を着ておでかけの際に、
待合のお部屋で
小さいお子様が飽きてしまって
ぐっずった時には
お召し物の「宝尽くし」の絵柄を指しながら
バッグにひとつ、絵本を入れておいて
面白い「とんち話」を聞かせてあげると
喜ばれますよね。
本日も、最後までお付き合いくださり
ありがとう存じます。
宝尽くしの意味『七の巻』は、
如何でしたか?
和装を大切になさる貴女なら
この国の伝統文化に敏感なはず。
この記事が
あなたのお役に立てれば幸いです。
次回は、こちら
⇒⇒⇒【打ち出の小槌】「宝尽くし」の意味⑧着物の文様
では
本日は、この辺でおいとま致します。
またお目にかかれます様に。
ご機嫌よう。