みなさま ご機嫌よう。
機嫌の悪い人のことを
「あの人、おかんむりね。」などと言います。
その意味、それは?
何故こんな言葉が生まれたのでしょう?
本日は、
【御冠 おかんむり】のお話しです。
冠とは
【 冠 】は⇒ 頭に被るものの総称です。
そして
【御冠】は ⇒冠を曲げること。
冠は本来、
きちんと真っ直ぐに被るものなのに
その頭に被るものが曲がっている。
つまり、そっぽを向いている状態。
冠を曲げるとは・・
・ 機嫌を悪くする
・ 不満をもっている
・ 怒っている
の意。
その昔。
公家たちは立場上、不満があっても
意見せずに我慢しなければならず、
抗議や反抗心を示す為に
冠をわざとずらして意を表わしたと言います。
おかんむり=不機嫌なこと
【類義語】は
・ ご立腹 = 腹を立てる
・ 腹が立つ = 怒りが起こる
・ 頭にくる = 我慢ならぬ
・ ご機嫌斜め = 機嫌が悪い
【使い方】は
・ すっかり おかんむりだ
・ 珍しく おかんむりのようだ
・ 少なからず おかんむりだね
・ 大変な おかんむりです
・ いささか おかんむりのようで
でも、冠を曲げるのに
なぜ曲げるを取って御を付けたのでしょう?
曲げる・斜め
【曲げる】とは
・ 本来の形をゆがめること
・ 気を損ねること
へそを曲げる=体を別の方へ向ける
つむじを曲げる=頭をよそに向ける
【斜め】とは
・ 傾いている
・ 人の気持ちなどが普通と違う事
〔例〕
・ 斜めに構える
・ しゃに構える
・ はすに構える
総じて
『皮肉な態度をとる』の意味ですね。
御とは
御冠(おかんむり)の御は
敬意・尊敬の意を表わしたり、
名詞の頭に付けて丁寧にする役割があります。
例えば『御の字』とは
・ 充分で
・ ありがたい
・ 結構な
・ 極上のもの
ということは
【御冠】とは・・
[御]の字を付けるほど有難い[冠]を
わざわざ曲げてまで抗議を表わす事
なのですね。
如何でしたか?
【御冠】は本来、男性が使っていた言の葉で
男性が使っても、いっこうに構わないし正しいものですが
それを女性が話し言葉の中で使うとき
『怒る』を直接的な言い方・表現ではなく
「少し おかんむり、みたいね?」
などと、険も立たずに柔らかな人柄と
奥ゆかしさまでも感じられてきます。
言葉は、
良くも悪くも一瞬で、あなたの印象を変えます。
ですから、
あなた自身を表わす手段のひとつでもあります。
心して選びたいものですね。
最後までお読みいただき
ありがとう存じます。
では本日は
この辺でおいとま致します
ご機嫌よう。