言 の 葉

【竹取物語】の謎③ 不死山「帝と姫の別れの物語」

投稿日:2020-06-23 更新日:

 

みまさま ご機嫌よう

 

川端康成・訳で読む
【竹取物語】の謎

三夜目。

この物語の結びは

かぐや姫と帝の2人が互いに宛てた
こんな唄からはじまります

 

かぐや姫
身につけると全ての記憶を消してしまう
天の羽衣を前に、こう詠みます。

『 今はとて天の羽衣著(き)るをりぞ
君をあはれと思ひ出でぬる 』

いよいよ 天の羽衣を着る段になり
帝を思えば お慕わしく、
気持ちも揺さぶられるのです

 

は、姫がたくした
最後の手紙と不死の薬を前に、
こう詠みます。

『 あふことも涙に浮ぶわが身には
死なぬくすりも何にかはせん 』

もはや、逢うこともない身
不死の薬など もう何にもならぬ

 

『竹取物語』のラストは、
ただ姫が月に戻る・・
美しいシーンだけではなかった。

今宵は
そんなことが語れるようになる

そんなお話しです。

 


羽衣伝説 / wikipedia

羽衣伝説は、日本各地にあります

その中でも 1200年前に書かれた
日本最古の伝説は
近江国風土記』に書かれている説話であり

他にも、
静岡県にある三保の松原の羽衣伝説も
謡曲・長唄・常磐津・一中・箏曲などで有名です

 

しかし、注意しなければならないのは

説話でいう
ところの天女の羽衣」
かぐや姫のまとう天の羽衣」とでは

微妙に性質が異なることです

伝説の[天女(てんにょ)羽衣]は
天に帰るときに、空を飛ぶための道具であり
翼の役目を果たす晴れやかなもの。

後に
その羽衣に、縫い目がないことから
純真な飾り気のなさと、取りつくろう必要のない自由さ
という意味で
[天衣無縫]という言葉も生まれます

 

その一方、

竹取物語の[天(あま)羽衣]
人の世で知った愛や情けを消すもの
人の心から天人へと戻るための浄化の道具です

それは
いにしえより 謡曲の中で語られる
「天に偽りなきものを」という言葉の方が
的を射ています

そこに宿る姫の祈り

全ての記憶を失おうとも

天に偽りなく残る

に 通じると感ぜられます

 

 帝と「不死山」

宝永の噴火以来、
300年の眠りについている富士の山。

いつ 目を覚ましても不思議ではない、
とされる富士は神聖な存在で

その昔、女人禁制のお山でした。
登山できるのは
成年男子のみに限られ

今日のように
皆に開かれた山ではありませんでした

 

帝は、かぐや姫が地上から去った後
哀しみに暮れ、食事も取らず

ある日、下々の者たちに尋ねます

いったい、何処の国のどの山が
天に一番近かかろうか。 と。

すると、ある者が答えます

「駿河の国にあるあの山が、
この都にも近く
また、天にも一番近うございます。」と。

帝は、それをお聞きになると
姫から贈られた壺の中の不死の霊薬に、自らの文を添え
それを中将に託します

中将はそれを受取り
兵士を大勢連れて不死の山に登ったのです

「武士」がたくさん山に登った
=「士に富む山」
=「富士の山」

その後「不死山」という名称は、
鎌倉時代
今の「富士山」になったと言われます

 

中将は
その日本一の山頂に着くと

姫の想いのこもった「不死の薬」と
帝の想いのこもった「手紙」とを
燃やします

その煙は
ながくながく たなびいて
月にまで立ち昇った

と、
人々が伝えるところとなるのです

 

 あなたの創るラストシーンを。

いま

あなたが
目を閉じたなら

そこに 何が見えますか

 

それは姫の美しくも切ない月への昇天

満月を背景に
天の羽衣をまとい
記憶を すべて消し去られ
月へ昇ってゆく姿

・・ですか?

 

それとも帝のこころを映す荘厳な富士山

二度と届かぬ想いが
富士(不死)の山頂から月へと
煙となって
たち昇ってゆく刹那

・・でしょうか?

 

それとも。。

 

どうぞ
あなたの心に叶う情景を
みつけ出してください

もしかしたら

まだ 別の謎が
あなたに見つけられるために
おはなしの 何処かに
忍んでいるかもしれませんね

そんな風に なんども
楽しんで頂けたなら嬉しいです

 

大人になって読み解く
不思議な物語り

三夜に渡り お付き合い下さった皆さまに
心より感謝申し上げます。

 

ご機嫌よう

 


現代語訳 竹取物語 (河出文庫)

 

 

-言 の 葉

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薫るように

歳を ゑるほどに
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叶うのなら

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