みなさま ご機嫌よう。
お着物を大切にされている
あなたへ。
あなたの身にまとうお着物には
何が描かれていますか?
そこにある物語を読み解いて参ります。
本日は【宝尽くし】の意味を探す
八の巻
『打ち出の小槌』のお話しです
意 味
打ち出の小槌とは
① 鬼の持つ宝物
② 大黒天の持ち物
③ 小槌=叩く=鬼を討つ→厄除け
④ 小槌=槌=ハンマー=打つ=討つ→必勝
⑤ 小槌=槌=ハンマー=物を作る→創造
⑥ 小槌=槌(つち)=土(つち)=大地=大黒天→豊作
⑦ 寓話(民間に伝わる口承のお話し)や
説話(神話・伝説・民話など)から、
衣食住・金銀財宝・願いのすべてを叶える→富の象徴
随分と色々な意味に、とらえられているのですね。
「宝物集」にみる小槌
宝物集(ほうぶつしゅう)とは
平安時代末期の仏教説話集です。
その中で、打ち出の小槌は
「人にとって第一の宝は何か」
をめぐった語りの中に
隠れ蓑→打ち出の小槌→金→玉→子→命
の順に名前が挙がり、
ここでの小槌は、宝物を出すというだけでなく
牛・馬・家屋・使用人・食物・衣服まで
思いのままを打ち出せる物として描かれます。
しかし、その全ては後に
「鐘の音を聞くと消え失せてしまう」もので
即ち、
「現物として宝は実在しないもの」であり
「仏法こそ第一の宝である」と説かれました。
「軍時記」にみる小槌
保元の乱・源平の戦いからなる
軍時記の
「保元(ほうげん)物語」
「平家物語」
ここにも、打ち出の小槌は出てきます。
ただ、「平家物語」の方では実体は登場せず
「聞こゆる打ち出の小槌」という表現で
小槌を持った鬼がでたという噂が立った・とされています。
一方、「保元物語」では、
記述は、諸本により違うものの
鬼たちの持つ宝として記載されています。
「一寸法師」の小槌
『一寸法師』のお話しの元は、
鎌倉時代末から江戸時代に成立した
「御伽草子(おとぎぞうし)」という
〈短編の絵入り物語〉の中の一編が
原作となっているものです。
「御伽草子」 出典元 /Wikipedia
400編を超える、その中で
世に知られているのは100編強で
浦島太郎
鉢かづき
酒顛童子(しゅてんどうじ)
横笛草子
ものぐさ太郎
福富太郎
などが在ります。
ご存知、一寸法師のお話しも
広義にはストーリーも違いますが
現在では、その多くが
一寸法師が鬼退治をした後に、
姫が「大きくなぁ~れ」と小槌を振り
そのお蔭で立派な若者になる。
という立身出世・所願成就につながるのお話しです。
本日の、お話しは如何でしたか?
もしかしたら打ち出の小槌といえば
ドラえもんの「ひみつ道具」と
お答えになる方もいらっしゃるかもしれませんね。
藤子・F・不二雄大集5巻収録の
ひみつ道具〈うちでの小づち〉で、
背が伸びると同時に、のび太さんの体全体が
細く長く紙のようにぺらぺらになって…
というお話しですね。
こうして、宝尽くしを読み解いてみると
宝物に込める思いや願いは、
ほんとうに人によって様々で
それで良いのかもしれない・・と
感じるようになって参りました。
お着物に表わされる
吉祥文【宝尽くし】の数々。
あなたはそこに、何を想いますか?
次の、お話しはこちら
⇒⇒⇒【軍配】「宝尽くし」の意味⑨着物の文様
ではまた
どこかでお目にかかれます様に。
本日も、お付き合い下さり
ありがとう存じます。
ご機嫌よう。