みなさま ご機嫌よう
あなたは
おせち料理は、お好きですか?
「おせち料理って
甘いものが多くて どれも味は濃いし
身体に悪いんじゃない?」
そんな声も聞かれます
そうですね、それが日持ちを良くするための
工夫でしたから
けれど今は
お砂糖の加減をして
自分好みのお味に仕上げるかたも
増えています
手作りする理由は それぞれですが
大切な人のために、自分のために、と
そこに共通しているのは
おせちが
「誰かの幸せを祈る料理」だということ
そう。
ふたを開ければ そこには
「ありがとう」が、いっぱい詰まっています
食べないなんて もったいないです
その
具材一つ一つには 意味があって
尊い言霊まで 一緒にいただける
不思議で 希有な、お料理「おせち」
それはかつて
神さまへのお供え物で
天皇陛下しか召し上がれなかったもの
年を経て 形を変えて
庶民まで下りてきた お供物です
今年こそ
具材の意味や由来を知って
そのうちの一つでも
楽しみながら
あなた好みに仕上げて
召し上がってみませんか?
では
本日は
【お多福豆】の おはなしです
元は、そら豆?
【お多福豆】は
そら豆の一種で【大きなそら豆】のことです
漢字で
【そらまめ】は
「空豆」「蚕豆」と書きます
これは
- 「空豆(そらまめ)」
= 豆の莢(さや)が空(天)を向いて実るから - 「蚕豆(そらまめ)」
= 蚕が繭を作る時期に美味しくなるから
そして、豆の莢(さや)が繭の形に似ているからです
そして
【おたふく】を漢字で書くと
『阿多福(おたふく)』となります
形が、ふっくらとして
阿多福面(おたふくのお面)に
似ているからです
また、他にも
「四月豆」(しがつまめ)
「夏豆」(なつまめ)
「野良豆」(のらまめ)
など
いろいろな名前で呼ばれていますが
とくに有名なのは
「一寸豆」
「天豆」ですね
「一寸豆」(いっすんまめ) は
豆の大きさが一寸(約3cm)だから
「天豆」(てんまめ・そらまめ) は
豆の莢(さや)が空(天)を向いて実るから
「天豆」は
居酒屋さんで見られることもありますね
でも 待って!
そもそも「我が家では、黒豆ですが…」
という方も、多いですよね
「お多福豆」と「黒豆」の違い
このふたつ、
大きさも 形も違いますよね
素材も
大粒の「お多福豆」は
そら豆の一種で
小粒の「黒豆」は
大豆の一種です
そして、仕上がりは
どちらも『黒い煮豆』ですので
「黒」に意味がありそうですね
古来
【黒】は
魔よけを意味する色です
新年に向けて
その「黒」の力をいただいて
一年の災いを祓い
健康に働けるように
との祈りが込められています
さらに
【お多福豆】には
その名の通り
多くの福 を運んでくれますように
との願いが込められています
【黒豆】には
黒く陽に焼けるほど 何事にも精を出し
達者で 労苦をいとわず物事にはげむこと
無病息災への願いが込められています
これを
『黒くまめまめしく』といいます
地域によっては
わざと 豆を
シワが寄るように煮仕上げて
長寿を願うところもあります
このように お節の具は
一品ごとに
言霊をかけた料理ばかりです
では
【お多福豆】の元である
「そら豆」には
一体どんな栄養があるのでしょう
若返りの野菜と呼ばれる理由
そら豆は
低カロリーで ヘルシー
野菜でありながらも
そのタンパク質は
ビタミンB1は豚肉の4倍といわれ
ほかにも
カリウム
マグネシウム
鉄
亜鉛
銅
ビタミンK
ビタミンB1
ビタミンB2
ナイアシン
ビタミンB6
葉酸
パントテン酸
ビオチン
ビタミンC
食物繊維 などを含み
女性には 嬉しい効能が多い
とりわけ
・血流の改善
・造血
・抗酸化作用
・コラーゲンの生成
・肌荒れ防止
・メラニン色素の抑制
・むくみの改善
・二日酔い、悪酔いの防止
・抵抗力アップ
といった
肝機能を守り
皮膚・粘膜を保護し
血管を若く保つのに 一役買う
糖分をひかえめな
手づくり【お多福豆】なら
新年も
ダイエット中の 糖質代謝を助け
美肌効果も期待できそうですね!
ところで
あなたは グリム童話や
日本昔ばなしで語られている
こんな【そら豆】の物語を
ご存知でしょうか
日本昔ばなし「そら豆とわらと炭」
そのお話しは
グリム童話『わらと炭とそら豆』や
日本昔ばなし『そら豆とわらと炭』に
見ることができます
どちらも
そら豆の【お歯黒】のおはなし
【お歯黒】とは
そら豆の、根と芽の出る部分である
[黒い筋] のことです
それにしても・・
あの黒い筋は
なぜ 出来てしまったのでしょう?
如何でしたか
この動画は
有名なホリプロさんが、2011年3月の作品を
コロナ禍で外遊びできない
子供たちを思って公開してくださいました
素朴な 日本昔ばなしを
女優・石原さとみさんの語りで
耳にすることができるのも 嬉しいですね
ちいさなお子さま・お孫さまに
食卓を囲んで
こんなお話しを語ってあげるのも
いいですね
その時のために
【お多福豆】になる前の生の「そら豆」を
一粒だけ残しておくと喜ばれます
※ 補足
歯を黒く染める風習『お歯黒』
古墳に埋葬されていた人骨にも
男女の別なく すでにお歯黒の痕はあり
その習慣は
明治初期(地方により大正時代)までの
1200年以上も続いたとされます
定番レシピ
1)豆の下ごしらえをします
一晩置きますただし
乾燥そら豆をお使いになる場合は
メーカーごとに戻し方が違うので
最適な戻し方を 確認してください
2)下ゆでをします
鍋に
・そら豆
・水
・重曹(豆の量の一割ほど)
を入れます水の量は
常に、ひたひたな状態を保つと
色が抜けにくくなり重曹を加えれば
艶がでて、早く柔らかくなります沸騰したら
ふたをして、弱火で煮ます
3)冷ます
ふたは取らずに、半日置きます
4)2回の下ゆで
真っ黒に煮るために、鉄分を加えます
・古釘
・鉄玉子(または市販の鉄材)
・鉄鍋を使用など。鉄分が手近にないときは
重曹を入れてもある程度の効果がありますその後
・1時間ほど 弱火で煮込んで一度ゆでこぼし
・2時間ほど ゆっくり冷まし
・水を代えて 更に ゆでます
5) 味を付けます
ザルにあげ 湯を捨てます味付けは
・砂糖
(砂糖の量は、豆の半量
甘めがお好みならば より多めに)と
・しょうゆ ですこれを、弱火で
お好みの硬さまで 炊き込みます
6) 冷ます
ふたを取らずに 冷まします冷たくなったら
豆をつぶさぬよう 優しく揺すってほかの容器や 鍋に移し
できあがりです
※ 鉄玉子をお探しの方へ
こちらを ご参考に どうぞ
おわりに。
完璧じゃなくてもいいよ ♡
最後までお読みくださり
ありがとう存じます
知れば作りたくなる!
幸せを呼ぶお節料理「お多福豆」のおはなし
如何でしたか
もちろん
昔ながらのおせち料理を守り継ぐのも
立派なことですが
たとえば
年の瀬から ゆったりと
御酒などをいただきながら
塩ゆでしただけの
そら豆を肴に
お多福豆のおはなしや
そら豆の昔ばなしに想いを馳せる
それもまた
乙なもの
大切にしたいのは
完璧さではなく
この国の先人たちの声に
ときに 耳を傾け
その知恵と心のバトンを
しっかり
つないでゆくこと
この記事が
その一役となりましように。。
ご機嫌よう