装 い

女性の身体を温める・紅いろの襦袢「禁色の深紅」

投稿日:2020-03-18 更新日:

 

みなさま ご機嫌よう

いつも
ありがとう存じます

ゆみこです

 

昭和初期ごろまでは
女性の着物の裏地紅色が多いですね

古より日本では
多くの襦袢や胴裏に
紅染めのものを用いる風習がありました

和の世界がお好きで
オシャレに敏感なあなたも

もしかしたら

一度は
紅い襦袢を着てみたいと思ったこと
ありませんか

けれど

紅いろ・・
というだけで

艶っぽさ  色っぽさばかり
感じてしまうのか

「紅い襦袢だなんて、はしたない
「そんな下品な着方をしてはいけません」
「素人が、玄人の真似をするなんて」

っと
きつくお叱りを受けることも
あります

・・・。

紅い襦袢は いけないもの?
見えないように着るなら良いけれど
見えたら下品?

 

本日は

あなたの
そんな疑問に寄り添い

「紅いろのひみつ」について
覗いてみたいと存じます

 赤と紅

「赤」

「赤」という文字は
「大」と「火」で象(かたど)られ
「大きく燃える火の色」を表しています

そして
朱、桜、小豆など
赤系統の色の総称として使われます

音読み
「セキ」

赫(カク)と関係があり、
「火が燃え上がっている状態」です

訓読み
「あか」

夜が明ける「明らか」
「全く」「すっかり」の意味があり

・赤裸々
・真っ赤な嘘
・赤貧
・赤の他人

などと用いられます

「紅」は
「くれない、コウ、べに」と読みます

「くれない」を漢字で書くと
「呉藍」です

「呉」は、中国の呉の国のこと
「藍」は、染料のことです

つまり
「くれない」は
【呉から渡来した染料】という意味です

また

「紅いろ」とは、
キク科の紅花(べにばな)の汁で染めた
赤の中でも特に
紫がかった鮮やかな紅いろです

 

日本国旗
【日の丸】は「紅」と認定されていて

「紅」=博愛と活力
「白」=神聖と純粋を意味するものです

「紅白」の起源
平安時代の「源平合戦」に由来し

平家(貴族)は

赤地に金の丸の旗
=朝廷の象徴である「錦の御旗」に同じ

源氏(武士)は

白地に赤丸の旗を掲げて戦いました

 言い伝え

日本では
「紅」は、古来から縁起ものとして
人々に愛されてきました

とくに申年には

  • 申は「さる=去る」
    「病が去る」「災いが去る」とされる
    「魔除けの色」
  • 申年に、「申」と書いて
    下着を贈ると幸せになれる
  • 申年の申の日に、子供から贈られた
    赤い下着を身につけると病が去る
  • 申年に、赤いパンツを履くと寝たきりにならない

など、たくさんの言い伝えがあります

新生児の死亡率が高かった時代には
赤ちゃんが生まれると
魔除けに赤い産着
ちゃんちゃんこ(子どもの袖なしの羽織)を着せて
無事の成長を祈りましたし

還暦のお祝いには
生まれ年(干支)から一回りしたこと
すなわち「生まれ直し」を祝い

【 いつまでも元気で長生きしてくれるように 】
との願いをこめて

「赤いちゃんちゃんこ」と「頭巾」をかぶって
長寿のお祝いをしました

 紅の発祥

数々の説がある中でも
より多く語られているのが
古代エジプトのナイル川流域」説

それはミイラの保存に関係があると
見なされているからです

ミイラに巻き付けられた布に
防腐防虫のため
紅花染料が含まれていて

その紅花の原産地
ナイル川流域であるためです

日本には
ヨーロッパからシルクロードを経て
中国・朝鮮半島へと伝わり

飛鳥・奈良時代
高麗(こうらい:朝鮮の王朝)より
もたらされたと伝えられます

 紅 花

紅花は
和名を「くれのあい(呉藍)」
古名「すえつむはな(末摘花)」
とも呼ばれます

ご存知
源氏物語の中に
末摘花の姫が登場しますね

鼻の先が赤みをおびた風貌から
光源氏に名付けられる姫さま

身の丈が1mになる
すらっとした佇まいの

花びらからは抽出されるのは

黄色や紅いろの2種類の他に
薄めのさくら色が、とても綺麗です

花弁は
はじめに黄色に
2日目くらいから赤みを帯びて
3日目以降は、どんどん赤くなり
散ってゆきます

ふしぎと
顎や葉にはアブラムシがついても
黄色の花びらだけには虫はつかない

そこから採れる
黄色い染料には防虫効果」があり

正倉院の経巻(巻物)の保管に
黄染めの和紙として使われています

いっぽう

紅い染料は
わずか1%しか採れません

平安時代には
千葉県長南町で盛んに栽培され

江戸時代中期以降は
宮城・福島県や
埼玉
県でも栽培されるようになります

なかでも
山形県の地域では

元禄の頃には
県内の全畑地の3分の1が
紅花畑であったといわれています

 禁 色

山形県の最上川流域で採れる
紅花は

赤の中でも特に
紫がかった鮮やかな紅です

「真の紅色」
「本物の紅色」
紅絹(もみ)色」と呼ばれ

その質の良さから
最上紅花(もがみこうか)」と謳われます

江戸時代には

金や真鍮などの
貴金属と同じ価格で取引され

「米の百倍、 金の十倍」

と言われる高価な
深紅真紅」として

貴族や女官だけが
身につけることを許された

 

禁色(きんじき)」
=庶民には禁止された色

とされました

 効 用

赤の効用

・気力を高める
・気合いが入る
・決断力、勝負運が上がる
・金運が上昇する
・透けにくい
・肌が綺麗に見える

紅の効用

・血行促進
・保温効果
・抗菌作用
・生理痛、肩こりの改善
・ホルモンバランスを整える
・生理不順、更年期障害の改善
・交感神経が活発になる

このように、乾燥させた花弁は
紅花(こうか)」と呼ばれる
女性の身体に優しい生薬

肌の美しさは
素材
によるものが大きいのです

 紅い小襟[一文字]

うなじから紅い線が見える「一文字」は
小襟(こえり)」といって

芸妓さんや舞妓さんなどが

襦袢に小襟芯を入れ
半襟の淵に乗せ
見えるように着付けます

確かに

殿方の目を楽しませる着方も
あるのでしょう

間違っても、公の場には
あからさまな紅使いはいけません

お相手のあることだから
気を付けない、と

それは
大切なこと。

けれど
紅いろを身につけることは

女性の
冷えやすい身体をいたわり
血の巡りを整え
様々な病気から身を守るのも事実です

けだしや、湯文字
紅い色が好まれたのは
経血の汚れが目立ちにくいから

昭和初期ごろまで
紅いろの襦袢は
誰もが大切に身に着けていましたし
紅絹(もみ)の胴裏は

女性たちの憧れの品でした

それでも
この紅花染めも
明治時代には
化学染料の輸入や国策等で衰退してゆきます

 おわりに。

はじめに触れた質問

紅い襦袢は いけないもの?
見えないように着るなら良いけれど
見えたら下品?

今、あなたは
どんな風に感じますか

 

かつて紅絹は
限りなく優しく女性をいたわり
身に添ってくれました

室町時代末期に
山形県の地域に入ってきた「紅花」

厳寒の中で職人たちが
手塩に掛けて紡いだ「紅絹」

着物の良さは

その見た目だけではなく
「女性への優しさ」です

日本の宝「深紅」
紅染めの美しさを

歴史に埋もれさせるのは
残念でなりません

あなたは
どう思われますか。

 


 

最後までお読みいただき
ありがとう存じます

本日は
この辺りでお暇いたします

 

ご機嫌よう

 

 

-装 い

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ご挨拶

 

ご 挨 拶

 

千年の先

15代あとの子らに

あなたは
何を伝えたいですか

日の本のくにの

言の葉の ぬくもり
きよらかな 所作

いまを  惜しみ
慈しみ
人を敬い

薫るように

歳を ゑるほどに
人を深めて

もし

叶うのなら

和事に
華を咲かせながら

生きてみたい。。

 

ここへ
いらして下さる方々に

ほっと一息つける場所に
なれますように

つたないブログですが

 

つまずきながら
学びながら

感ずるままに  綴っております

どうぞ
ごひいきに。。

 

ゆみこ

 

 

略 歴

 

 

千羽屋呉服店・長女

永田町・山王日枝神社奉職

舞台着付
根津昌平氏師事(松竹衣裳)

和裁学苑
村林益子氏師事

和装ポージング&ウォーキング
田中レーヌ氏(パリコレモデル)師事

和文化講座
中嶋よしゑ氏(京都・芸妓)様

メンタルケア・スペシャリスト認定

きもの文化検定3級

小笠原流礼法・師範

 

Special thanks !

立川・府中アスレティックFC