みなさま ご機嫌よう
ドレスにはドレスの魅力があるように、
和装には和装の魅力があります。
ここ数年は
【黒引き振袖】をお選びになる方が
とても増えているように感じます。
十代から
ずっと神社で御奉仕をして
300余人の花嫁の介添えを
してきた私には
和装婚に視線が集まることは
とっても嬉しいことです
そこで
本日は近年にみる
【黒引き振袖】【色引き振袖】の
お話しをしたいと存じます。
世代別の着こなし
20代
何を選んでも
お似合いになるものです。
が、特に
【黒引き振袖】は
クール&シャープなお顔立ちの方には
よくお似合いになります。
一方で、
可愛らしいお顔立ちには
少し落ち着きすぎて感じられるかもしれません
そんな時には
白ベースや、華やかな色・柄行きの
【色引き振袖】を選ばれるとお似合いです。
30代
この世代は
きっと
気遣いの世代なのでしょう。
周囲の色々な方の婚礼の装いを見て
自分がどう見られるのかを心配したり
ご友人やご親戚、式場の雰囲気にまで
気を配られて、衣裳を決められる
優しい方が多いように感じます
けれど、
一生に一度のこと。
遠慮などしたら必ず 後悔します
どうか 貴女らしく
「思いっきり♡可愛いわがまま」を
なさって下さいね
あなたの幸せが
みなさまの喜びなのですから!
40代
大人の花嫁世代
驚くほど【黒引き振袖】が似合うお年頃です。
艶のある黒が
色打掛や 純白の白無垢とは違う
女性の成熟した美しさを引き立てて
とっても素敵!
背の高い方には、大柄な吉祥模様が
小柄な方には、小さな模様がお似合いです。
「打掛」と「引き振袖」の違い
【色打掛】
メリット
・色打掛は背中の吉祥模様が美しい
・豪華で重厚感があります
デメリット
・打掛は重くて華奢な方には大変です
・豪華な打掛はレンタル料も高額です
引き振袖とは、10万円ほどの差が出ることも
メリット
・裾(すそ)が地面に広がる姿が美しく、
裾の先端に [ふき]という
綿を入れて厚みを出した部分があり、
全体的にほっそりとした
シルエットになります
・打掛を羽織らないことで、
婚礼衣装でしか身につけられない
丸帯の後ろ姿を見ていただけます
・洋髪も可能です
デメリット
・白無垢、色打掛より一段格が下がります
・【色引き振袖】が、カジュアルに映ったり、
お色直しに見えてしまうこともあったり、
上半身に柄のない黒引きは留袖っぽくなったり
しないように…
いずれも
帯・帯まわりの小物で
華やかさに気を配ることが大切です
・ちなみに
婚礼衣裳の格は、上から
「白無垢」「色打掛」「黒引き振袖」「色引き振袖」
の順になります。
髪の [和と洋]
【引き振り袖】で人気のヘアスタイルは
・文金高島田に 角隠し
・地毛結いの高島田に 髪飾り
・洋髪とヘッドドレス
です。
今は、古風なものから
個性的なスタイリングまで
いろいろなアレンジがあります
最近のカツラは 思うよりずっと
軽くなっています
こちらの記事でも
詳しくお話ししております
⇒⇒⇒神前婚・かつら合わせで失笑!? 待って!そのメイクにのせたら当り前です
注:
神社での挙式をご希望の方は、
「文金高島田」でないと
挙式を受けて下さらないお宮もありますので
事前の確認を忘れずに。
歴 史
【黒引き振袖】は
別名を
「お引きずり」とも言い、
江戸時代後期までは
角隠しをつければ挙式でも着られる
上流階級や武家の婚礼衣裳でした
一方で
庶民にとっては憧れのもので
暮らしぶりが貧しかった娘の婚礼には
ご近所や親類からお借りして
なんとか間に合わせたり
柄を入れることができなくて
黒一色のものを
こしらえたりもしました
それでも
黒の式服だったのには
理由があります。
それは
婚礼の後に花嫁が
その式服の長い袖を切って
黒留袖にしたからです
そうして一生涯、
愛用するものだったのです
昭和初期になると
【黒引き振袖】は
一般的な花嫁衣裳になります
その衣裳は
袂(たもと)や裾(すそ)の
下の方にだけ柄が入っています
やはり後に
袖を切って黒留袖に仕立てます
戦後の昭和後期に入ると
庶民の【黒引き振袖】も
戦前の「質素・倹約」から「富の象徴」へと変わり
美しい【色引き振袖】が普及していきます
とはいえ時代が替われど
「黒」という色の格式は高く
ご存知のように現代でも
既婚女性の留袖、喪服の黒は
和装の中での最上位の礼装ですし、
「引き振袖」の中で
一番、格が高いのは【黒引き振袖】です。
如何でしたでしょうか。
ほんのわずかでも
幸せな貴女のお手伝いができたら
嬉しいです。
きっと今、あなたは
とても お忙しいことでしょう
けれど
大切な御身、ご自愛くださいね
本日は
大切なお時間をくださって
ありがとう。
ご機嫌よう